9.6. RemoteAgentレスのご利用

9.6.1. RemoteAgentレスについて

Connect 9.3では、RemoteAgentを接続先ホストへインストール不要で、Connectサーバ経由でリモートアクセスが可能な機能が追加されました。本資料では、RemoteAgentレスホストへリモートアクセスするための設定や、制限事項等について説明します。

9.6.2. RemoteAgentタイプ/レスの構成(イメージ)

  • RemoteAgentタイプ(あり)の場合(従来の構成)
remoteagentless-01
  • RemoteAgentレス(なし)の場合
remoteagentless-02

RemoteAgentレスで構成する場合、接続先ホストに対してRemoteAgent(AccessServer)が不要な構成となります。

※アクセス方法によっては、接続先ホスト以外へ最低1台のRemoteAgent(AccessServer)が必要となります。

9.6.3. RemoteAgentレス構成時のアクセスフロー

RemoteAgent レス構成時のアクセスフローは、以下の通りです。AccessNow接続の場合は最低1台のAccessServer Farm(RemoteAgent/AccessServer)が必要ですが、EricomRDP接続の場合は不要となります。

  • EricomRDP接続の場合
remoteagentless-03
  • AccessNow接続の場合
remoteagentless-04

9.6.4. RemoteAgentレスの制限事項

RemoteAgentレス機能の制限事項は以下の通りです。

  1. Ericom Secure Gateway(ESG)経由で利用する必要があります。
    (ESGサーバとConnectサーバのバージョンは合わせる必要があります。)
  1. AccessNow接続またはEricomRDP接続のみサポートされます。
    (Blaze接続は未サポートとなります。)
  1. デスクトップへの接続のみサポートされます。
    (アプリケーション起動は未サポートです。)
  1. ユーザ:ホストは、1:1での接続のみサポートされます。
    (予めユーザがどのホストへ接続するかを明示的に設定され、設定されたホストへのみ接続する形となります。)
  1. AccessNow接続の場合、印刷機能とファイル転送はできません。
    (テキストのコピー&ペーストは可能です。)
  1. AccessNow接続の場合、RemoteAgentタイプの場合と比較して画質は低下します。
  1. 一時的なネットワーク断等で一度接続先ホストとのセッションが切断された場合、自動再接続はされません。ユーザは手動で再アクセスが必要となります。
  1. RemoteAgentレスな接続先ホストからのログオフは、RemoteAgentタイプな接続 先ホストからのログオフよりも長くなります。(30秒程度)
    また、Connect管理コンソールに反映されるRemoteAgentレスホストのセッション状態(アクティブ、切断、ログオフ)は、正確に反映されない場合があります。
  1. 接続先ホストのステータスは、Connect管理コンソール上に表示されません。
  1. 接続先ホストのセッション制御(Connect管理コンソールから管理者による強制ログオフ、シャドウ、メッセージ送信等)はできません。
  1. 接続先ホストのRDPポートは、3389からの変更はサポートされません。
    (デフォルトの3389ポートのまま利用する必要があります。)
  1. 接続先ホストのIPアドレスをDHCPサーバから取得する構成でも利用できますが、接続先ホストのIPアドレスが変わっても、Connect管理コンソール上に表示されているIPアドレスは更新されません。
    (Connect管理コンソール上にはRemoteAgentレスホストをConnectサーバへインポートした時点のIPアドレス のままの表記となりますが、RemoteAgentレスホストへのアクセス時は、FQDN(完全修飾ドメイン名)で RemoteAgentレスホストへ接続します。)

9.6.5. RemoteAgentレス設定手順

RemoteAgentレスホストの設定手順は以下の通りです。

CSVファイルの作成

ユーザとホストを紐付けるCSVファイルを作成します。作成するCSVファイルの形式は下記例の通り、UserとHostを列名とします。

※列名(User,Host)は、後述のPowerShell実行時に任意の列名を指定することも可能です。

注意

  • User列のデータは、必ずUPN形式で指定してください。
  • Host列のデータは、必ずFQDN(完全修飾ドメイン名)で、かつ、DNSによる名前解決ができることを確認してください。名前解決ができていない場合、ConnectサーバへのCSVデータのインポートが失敗します。また、RemoteAgentレスホストへのアクセスはFQDNでDNSへ問い合わせたIPアドレスでアクセスされるため、DNSによる名前解決ができていない場合はRemoteAgentレスホストへアクセスできません。
  • RemoteAgentレスホストのIPアドレスが変更された場合は、DNSサーバ上のRemoteAgentレスホストのIPアドレスも更新されている必要があることに注意してください。また、DNSサーバ上のIPアドレスが更新されていても、DNSキャッシュが残っている場合には古いIPアドレスでアクセスされることがありますので、DNSキャッシュの更新間隔にも注意してください。

例)

User,Host
user01@ashisuto.local,vdi01.ashisuto.local
user02@ashisuto.local,vdi02.ashisuto.local
user03@ashisuto.local,vdi03.ashisuto.local
user04@ashisuto.local,vdi04.ashisuto.local
user05@ashisuto.local,vdi05.ashisuto.local

CSVデータのインポート

注意

下記を実行するPowerShellバージョンは5.xをご利用ください。PowerShellバージョン7.x等は利用できません。

作成したCSVファイルのデータを、Connectサーバへインポートします。インポートは、Connectサーバ 9.3に用意されているPowerShellファイルを使用して行います。実行時、Connect管理者のユーザとパスワードの入力が必要となります。

(PowerShellファイルのパス)※Connectサーバ 9.3上にあります。
C:\Program Files\Ericom Software\Ericom Connect Configuration Tool\powershell
(使用するPowerShellファイル)
configure-mycomputers.ps1
(configure-mycomputers.ps1のオプション)
全てのオプションを確認する場合は、PowerShellで「help .\configure-mycomputer.ps1 -detailed」を実行してください。下記はよく使用されるオプションを記載しています。
オプション 説明
-action
updateまたはshowを指定します。
updateの場合、Connectサーバに対するデータの更新(追加、変更)を行います。
showの場合、Connectサーバに対するデータの参照を行います。
-csvfile インポートするcsvファイル名を指定します。
-userColumn インポートするcsvファイルのユーザ列の名前を指定します。指定がない場合、ユーザ列の名前はUserとなります。
-hostColumn インポートするcsvファイルのホスト列の名前を指定します。指定がない場合、ホスト列の名前はHostとなります。
-hostGroupName 「-createHostGroupIfNeeded」オプションが指定されている場合、このオプションを設定するとRemoteAgentレスホスト用のシステムグループ名を設定できます。 このオプションの指定がない場合、MyDesktopHostsという名前が設定されます。
-createHostGroupIfNeeded このオプションが指定されている場合、RemoteAgentレスホスト用のシステムグループを作成します。 「-hostGroupName」オプションが指定されていない場合は、MyDesktopHostsという名前のシステムグループが作成されます。 このオプションが指定されない場合は、システムグループを作成しません。
-createClientlessHost
このオプションが指定されている場合、以下の動作となります。
・CSVファイルのホスト列に記載したホストがまだConnectサーバに存在していない場合は、CSVファイルの内容でホストを追加します。
・CSVファイルのホスト列に記載したホストが既にConnectサーバに存在している場合は、CSVファイルの内容で同名ホストを更新します。

このオプションが指定されない場合、Connectサーバに存在していないマシンの追加は行われず、既存ホストの更新のみ行われます。

-whatIf CSVファイルのインポートをテストする場合に指定します。実際にConnectサーバへのホストの追加、更新等は行いません。
-adminUser Connect管理者のユーザを指定します。
-adminPassword Connect管理者のユーザパスワードを指定します。
-updateIps CSVファイルに記載されたホストのDNS名前解決を再チェックし、IPアドレスを更新します。(既にRemoteAgentレスホストとして登録済みのホストのIPアドレスを更新する場合は、このオプションを付与します。)

以下はコマンド実行例となります。このコマンドを実行すると、RemoteAgentレスホスト用のシステムグループ 「MyDesktopHosts」が作成されます。また、import.csvファイルのHost列で指定されたホストがConnectサーバに追加され、システムグループ「MyDesktopHosts」に参加している状態となります。import.csvのHost列で指定されたホストが既にConnectサーバに存在している場合は、Connectサーバ上の同名ホストに対して、CSVファイルのUser列で指定されたデータで更新されます。User列に変更がない場合は、PowerShellの結果としては(unchanged)が返されます。

.\configure-mycomputer.ps1 -action update -csvFile .\import.csv -createClientlessHost -createHostGroupIfNeeded

CSVインポート後のConnect管理コンソールの状態

CSVファイルのデータをインポートした直後のConnect管理コンソールは、以下の状態となっています。

システム>ホストの画面

remoteagentless-05

システム>ホスト>設定の画面

remoteagentless-06

システム>グループ>RemoteAgentレスホスト用のグループ>システムの画面

remoteagentless-07

AccessServer Farm用システムグループの作成

注意

この設定は、RemoteAgentレスホストに対してAccessNow接続を行いたいたい場合のみ必要となります。EricomRDP接続のみ行う場合は、この手順をスキップできます。

AccessNow接続でRemoteAgentレスホストへ接続させる場合、下記手順でAccessServer Farm用のシステムグループの作成、及び、当該システムグループへRemoteAgent(AccessServer)を追加します。

  • AccessServer Farm用システムグループの作成

システム>グループの画面から「新しいグループを作成」をクリックし、AccessServer Farm用のシステムグループを作成します。

remoteagentless-08
  • AccessServer Farm用システムグループへのホスト追加

システム>グループ>(AccessServer Farm用システムグループ)>システムの設定から、RemoteAgent(AccessServer)がインストールされているホストを追加します。

remoteagentless-09

参考

・AccessServer Farmに追加されているRemoteAgent(AccessServer)が複数台ある場合、負荷分散されます。つまり、1台のRemoteAgent(AccessServer)がダウンしても、稼働中のRemoteAgent(AccessServer)があれば、稼働中のRemoteAgent(AccessServer)が利用され、 アクセス可能です。

・1台のRemoteAgent(AccessServer)で処理可能なRemoteAgentレスホストの台数は、エンドユーザの操作内容に依存します。例えばエンドユーザがRemoteAgentレスホスト上でデータ 転送量の多い動画閲覧等をしている場合、RemoteAgent(AccessServer)も多くのリソースを 消費し、リソース不足となる可能性があります。RemoteAgent(AccessServer)に必要となる台数やリソースが不足する場合は、RemoteAgent(AccessServer)のスケールアウトもしくはスケールアップをご検討ください。

  • 「MyDesktopHosts」(RemoteAgentレスホスト参加済みのシステムグループ)とAccessServer Farm用システムグループの紐付け

システム>グループ>(RemoteAgentレスホスト用グループ)>設定>「Access Server Farm」の設定に、AccessServer Farm用に作成したシステムグループ名を設定します。

remoteagentless-10

リソース/リソースグループの作成及び設定

  • リソース追加

公開>リソース の画面から、デスクトップを追加します。

remoteagentless-11
  • リソースグループ追加及び設定変更

公開>グループの画面から、RemoteAgentレスホスト専用のリソースグループを作成し、リソースとしてデスクトップを設定します。

remoteagentless-12

作成したRemoteAgenrtレスホスト専用のリソースグループの「ユーザ」設定から、このリソースグループが参照可能なユーザ(またはユーザが所属しているグループ)を設定します。

remoteagentless-13

作成したRemoteAgentレスホスト専用のリソースグループの「システム」設定から、このリソースグループと紐づくシステムグループを設定します。

remoteagentless-14

remoteagentless-15

remoteagentless-16

リソースグループのその他の設定(基本、詳細、システム等)は、任意に実施してください。

RemoteAgentレスホストの削除

何らかの理由でRemoteAgentレスホストを削除するには、次を実施してください。

  • Connect管理コンソール>システム>ホストの画面を表示します。
  • 削除したいホストにチェックを入れます。
  • 3点リーダーをクリックし、「永久に切断」をクリックします。
remoteagentless-17

9.6.6. RemoteAgentレスホストへの接続

RemoteAgentレスホストへの接続をテストします。

注意

事前に本マニュアルのAPPENDIX「9.5.9.2ご利用時の注意点」に記載の内容をご参照の上、 必要な設定変更を実施してください。

EricomRDP接続の場合

EricomRDP接続では、以下2通りの接続方法があります。

1) AccessPortal経由EricomRDP接続
2) AccessPad経由EricomRDP接続

1) AccessPortal経由EricomRDP接続

※リソースグループ「RemoteAgentレスホスト」の詳細設定「ブラウザクライアント設定」が、「常にEricomRDP」となっていることをご確認ください。

  1. AccessPortalへログインします。
remoteagentless-18
  1. Desktopをクリックします。
remoteagentless-19
  1. 接続元クライアント端末に既にEricom RDP Client(EricomRdpClientInstaller)がインストール済みの場合は、「EricomRDPを開く」をクリックしてEricomRDP接続を開始します。まだEricom RDP Clientがインストールされていない場合は、「ここをクリック」をクリックするとEricom RDP Clientがインストールされます。Ericom RDP Clientインストール後、自動的にEricomRDP接続が開始されない場合は、一度AccessPortalを再ログインし、再度Desktopをクリックしてください。

remoteagentless-20

remoteagentless-21

2) AccessPad経由EricomRDP接続

※リソースグループ「RemoteAgentレスホスト」の詳細設定「ネイティブクライアントの選択」が、「EricomRDP(常に有効)」となっていることをご確認ください。

  1. 接続元クライアント端末にAccessPadをインストールし、Connectサーバへログインします。(前述の制限事項の通り、ESG経由のみサポートされますので、指定するアドレスは ESGサーバアドレスとなります。)
remoteagentless-22
  1. Desktopをクリックすると、EricomRDP接続が開始されます。

remoteagentless-23

remoteagentless-24

AccessNow接続の場合

AccessNow接続の手順は以下の通りです。

※リソースグループ「RemoteAgentレスホスト」の詳細設定「ブラウザクライアント設定」が、「常にAccessNow」となっていることをご確認ください。

  1. AccessPortalへログインします。
remoteagentless-25
  1. Desktopをクリックします。
remoteagentless-26
  1. RemoteAgentレスホストに対して、AccessNow接続されます。前述の制限事項の通り、AccessNow接続の場合は印刷機能及びファイル転送機能は利用できません。
remoteagentless-27

9.6.7. 接続状況の確認

RemoteAgentレスホストへの接続履歴は、Connect管理コンソールのダッシュボード、もしくはレポートから確認できます。但し、RemoteAgentレスホストのセッション状態(ステータス)は正確ではない場合があります。

  • ダッシュボード
remoteagentless-28
  • レポート
remoteagentless-29

9.6.8. RemoteAgentタイプとRemoteAgentレスの切り替え

RemoteAgentレス(なし)からRemoteAgentタイプ(あり)への切り替え、または、RemoteAgentタイプ(あり)からRemoteAgentレス(なし)への切り替えに必要な内容は以下の通りです。

RemoteAgentタイプ(あり)からRemoteAgentレス(なし)への切り替え

  • RemoteAgentがインストールされている接続先ホストから、RemoteAgentをアンインストールしてください。
    ※ RemoteAgentアンインストール時に表記されている「Preserve existing configuration for future installations and upgrades」のチェックは外し、アンインストールしてください。チェックがついたままアンインストールした場合、Connectデータベース上にはまだ当該ホスト情報が「一時的に切断」の状態で残存し、この場合、同名ホストをRemoteAgentレスホストとして登録できません。RemoteAgentレスホストとして登録できない場合は、当該ホストが「一時的に切断」となっていないかを確認し、「永久に切断」へのステータス変更を実施してください。確認及び変更手順は弊社サポートセンター FAQ:25778 をご参照ください。
  • 前述の「9.6.5. RemoteAgentレス設定手順」の通り、設定を実施してください。

RemoteAgentレス(なし)からRemoteAgentタイプ(あり)への切り替え

  • 前述の「RemoteAgentレスホストの削除」の手順で、RemoteAgentレスホストを削除してください。
  • 接続先ホストへRemoteAgentをインストールしてください。
  • 本マニュアル「簡易導入手順」等を参照し、必要な設定を実施してください。